ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ


「健康な生活のためのアプローチ」



健康的な生活のためにできることはたくさんあります。どこか調子が悪くなってから病院にかかるよりも、少し前の段階で予防できたらいいですよね。


ハイリスクアプローチという考え方を知っていますか? 私たち一人一人が違う個性を持つように、病気に対するリスクも人によってさまざまです。その人が持っている、病気にかかりやすい要因を前もって見つけようという取り組みが、ハイリスクアプローチです。







身近な健康診断もそのひとつ


毎年の健康診断や人間ドックなどは、みなさんにとってもなじみ深いのではないでしょうか。これらはハイリスクアプローチの中でももっとも身近な活動の一つです。個人のデータを把握し、病院の持つデータと比べることで、リスクの要因をさがすことができるのです。今で言うビッグデータの活用が、こんなところにも見られます。


例えば、健康診断を受けるとその結果から高血圧の人がわかりますよね。そこから個別の面談をおすすめし、食生活や運動の改善アドバイスにつなげていけます。予防医療の第一歩として、ハイリスクアプローチは有効です。



自分でリスクを管理する


ハイリスクアプローチという名前だけ聞くと、医療用語でちょっと難しく、自分には関係のないものに感じられるかもしれません。ですが、この取り組みを誰もが自分事としてとらえてほしいと思います。

どれだけのリスクがあるかわかっても、リスクを受け入れ、改善していけるのは本人だけです。医師からのアドバイスを活用するためにも、多くの人にハイリスクアプローチを理解してほしいと考えています。



ハイリスクアプローチの目的


このような診断とデータ活用の組み合わせによって、例に挙げた高血圧以外にも、その人にひそむリスクを発見できるようになりました。ここから具体的な予防・改善指導につなげ、人々の健康的な暮らしを守っていくのがハイリスクアプローチの目的です。





ポピュレーションアプローチとは


家族や友人、会社の同僚など、身近な人の健康を願う気持ちは誰もが持っているもの。周りの人がみな健やかに過ごしていると、自分にもいい影響がありますよね。ポピュレーションアプローチは、企業・地域といった集団に働きかけ、全体でよりよい健康状態に向かおうとする取り組みです。



企業としてのメリット


ポピュレーションアプローチは、特に企業で行うメリットが大きいと考えられています。体調が悪いときに仕事のパフォーマンスが下がってしまった経験は、誰しもありますよね。従業員全体の健康リスクが下がることで、まず従業員の身体的コンディションがよくなります。個人のパフォーマンスが安定すれば、職場全体に活力が生まれ、労働生産性が向上するのです。





忙しい現代人だからこそ


運動習慣のない人にいきなり運動をおすすめしても、何をしたらいいかわからず困ってしまいます。そこにポピュレーションアプローチとしての会社側からの働きかけがあることで、運動へのハードルを下げることができるでしょう。スポーツ大会の実施や、スポーツジム費用の助成などはよく見られる取り組みです。



ハイリスクアプローチと両輪で取り組む


ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ、この二つは健康管理の両輪になります。ハイリスクアプローチとは、高い健康リスクを持った個人を見つけ、対象を限定して改善していく取り組みです。これを、全体の健康リスクを下げるポピュレーションアプローチと組み合わせることで、お互いがより大きな効果を生み出します。



ポピュレーションアプローチの目的


企業などが働きかけることで個人に健康への意識が根付き、考え方を変えることができます。個人が変わると、その人がいる会社・地域などのコミュニティにも変化が起きるでしょう。そしてまたそのコミュニティが個人に働きかけていく。このらせんの様に続いてく健康的な改善が、ポピュレーションアプローチの大きな目的です。



健康経営優良法人とは


「優良な健康経営をしている」企業は、日本健康会議によって健康経営優良法人として認定されます。2017年から始まったまだ新しい制度で、聞いたことがない方も多いでしょう。ここでは健康経営優良法人に必要とされる、具体的なポピュレーションアプローチ導入例をご紹介します。



ポピュレーションアプローチの具体例


・定期健康診断受診率100%

年一回の健康診断を導入している企業がほとんどですが、受診率を上げるために職場を健診会場にしたり、受診のための業務調整を積極的に行うなどの取り組みがなされています。


・適切な働き方実現に向けた取り組み

法定残業時間の超過問題はニュースなどでもよく耳にしますね。ノー残業デーの制定や、一定の時間になると強制的にPCがシャットダウンされるなどの仕組みが導入されています。


・コミュニケーション促進に向けた取り組み

ウォーキング・ジョギングイベント、運動会の開催や、フットサルやテニスなどの運動サークルの運営などがあげられます。行事参加が難しい人のために、スポーツジムなどと提携して費用助成を行っている企業もあります。


・食生活の改善に向けた取り組み

社員食堂で減塩メニュー・低カロリーメニューなどの提供をするのも有効です。メニューに栄養素やカロリーを併記する工夫も、食生活改善に役立ちます。


・女性の健康保持増進に向けた取り組み

女性特有の健康問題について、保健師などによる専門的な相談窓口の設置もされています。自分と違う立場の従業員への、広いまなざしが必要な部分です。


・受動喫煙に向けた取り組み

喫煙所を設けるなど、喫煙場所を制限する企業がほとんどです。さらに受動喫煙を完全にシャットアウトするために、屋外を含め、すべての敷地内を禁煙とする企業も増えてきました。



普段からの取り組みが実を結ぶ


例にあげたような、集団としてのポピュレーションアプローチによって、多くの人の健康増進や予防につながるでしょう。病気になる前の段階から気を付けていけば、より健康な集団にシフトチェンジしていけるのです。これが健康経営優良法人認定に求められる、企業のあり方です。