ヒューマンエラーは「意図しない結果を生じる人間の行為」のことです。
ヒューマンエラーによる事故やトラブルは、あらゆる場面で発生しています。小さなトラブルで済む場合から、生命などに影響を与える重大なトラブルに発展するケースもあります。重大な事故を未然に防ぐために、ヒューマンエラーを防止する対策づくりが重要です。事故を分析すると、多くの場合にヒューマンエラーが見つかります。労働災害の8割に人間の不安全な行動が含まれています(厚労省、労働災害原因要素の分析)。事故の原因は人間が直接引き起こすエラーだけではなく、人間を取りまく多くの要因、作業環境、施設や設備、教育訓練、企業の安全への取り組みなど多くの要因が含まれます。これらをヒューマンファクターといい、ヒューマンエラーを防止するときの大事な要因となることもしばしばあります。
ヒューマンエラーの防止は難しいのですが次のような方策を採ります。
①人が間違えないように人を訓練する。
②人が間違えにくい仕組み・やりかたにする。
③人が間違えてもすぐ発見できるようにする。
④人が間違えてもその影響を少なくするようにする。
人が行うのですから、どんなに人を訓練しても間違いは避けられません。人間は適度な緊張のときにはエラーの発生は少ないのですが、過度の緊張や緊張感が少なすぎるとエラーが多く発生します。また単調な監視業務では30分を超えると緊張が続きません。ヒューマンエラーは原因ではなく結果であると考えると納得出来るのではないでしょうか。こうした人間の特性を知りながら人の持つ柔軟性などの長所を活かす工夫が求められます。
こんなことはありませんか?
思い込み
前と同じだろう、きっとこうに違いないと決めつけて行動する
経験や勘だけに頼らず、手順書や指示書を必ず確認しよう
見間違い、聞き違い
見ているけれど見えていない、聞いているけれど理解できていない
大事なこと、間違えたら困ることは、ダブルチェックしよう
うっかり、ぼんやり
集中できる時間が続かない、慣れて注意を払わなくなる
同じ作業を続けるときなどは、ときどき頭を切り替えたり、小休止したりしよう
ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)
アメリカの損害保険会社の安全技師であったハインリッヒが発表した法則です。「同じ人間が起こした330件の災害のうち、1件は重い災害(死亡や手足の切断等の大事故のみではない。)があったとすると、29回の軽傷(応急手当だけですむかすり傷)、傷害のない事故(傷害や物損の可能性があるもの)を300回起こしている。」というもので、300回の無傷害事故の背後には数千の不安全行動や不安全状態があることも指摘しています。また、ハインリッヒは、この比率について、鉄骨の組立と事務員では自ずから異なっているとも言っていますが、比率の数字そのものではなく、事故と災害の関係を示す法則としては、現在も十分に活用できる考え方です。これらの研究成果で重要なことは、比率の数字ではなく、災害という事象の背景には、危険有害要因が数多くあるということであり、ヒヤリハット等の情報をできるだけ把握し、迅速、的確にその対応策を講ずることが必要であるということです。
参考資料:厚生労働省 職場の安全サイト