座位行動とは

更新日:7月30日

定期的な身体活動は、心血管疾患、2型糖尿病などの予防と管理のために重要な要因となります。また、認知機能の低下やうつ病・不安などの症状の精神的な健康にも有益です。自身が日常生活の中でどの程度の身体活動を行っているか意識して考えてみましょう。

座位行動とは

座っていたり、横になっている状態の事をいいます。つまり、座って仕事をする、ソファに寝そべってテレビをみるといった行動の事です。学術的には、「座位、半臥位、もしくは、臥位の状態で行われるエネルギー消費量が1.5メッツ以下のすべての覚醒行動」と定義されています。メッツとは、安静時を基準とした場合のエネルギー消費量の事で、立って会話している場合のエネルギー消費量は1.8メッツ、普通のスピードの歩行は3メッツという事で、それぞれ安静時の1.8倍と3倍のエネルギー消費量という事になります。寝ていない時間の大半は座位行動をとっていると思われますが、この時間があまりにも長いと健康障害が発生する事が知られています。

座りすぎのリスクとは

令和元年「国民健康・栄養調査2」において1日の歩数と運動習慣のある者(1回30分以上の運動を週2回以上実施、1年以上継続している者)の割合は、この10年間で男性は有意な増減はなく、女性は有意に減少している事が分かっています。そんな中で、普段から運動しているかどうかに関わらず座りすぎていると2型糖尿病が多い事や寿命が短くなる事を明らかにした研究もあります。例え、健康増進施設などで運動プログラムを定期的に実施していても、生活の中で座りすぎている場合は、座りすぎていない人と比較して、肥満度が高く、寿命が短く、2型糖尿病罹患率や心血管疾患罹患率が高いことが示されているのです。

WHOによる「身体活動・座位行動ガイドライン」の重要なメッセージ

1

身体活動は心身の健康に寄与する。定期的な身体活動は、世界の死亡者数の4分の3近くを占める心臓病、2型糖尿病、がんといった疾病の予防・管理に貢献する。また、身体活動は、うつや不安の症状を軽減し、思考力、学習力、総合的な幸福感を高める。

2

少しの身体活動でも何もしないよりは良い。多い方がより良い。健康と幸福のために、少なくとも、成人では週に150~300分の中強度の有酸素性の身体活動(または、それと同等の量の高強度の有酸素性の身体活動)が、子どもや青少年では1日平均60分の中強度の有酸素性の身体活動が推奨される。

3

すべての身体活動に意味がある。仕事やスポーツ、余暇、移動(ウォーキング、スケートボード、サイクリング)だけでなく、日常の生活活動や家事も身体活動に含まれる。

4

筋力強化は全ての人の健康に役立つ。高齢者(65歳以上)は、転倒予防と健康増進のために、筋力の強化だけでなく、バランスと協調(身体の各部位を調和して思い通りに動かせる能力)を重視した身体活動を取り入れるべきである。

5

座りすぎで不健康になる。座りすぎは心臓病、がん、2型糖尿病のリスクを高める。座りっぱなしの時間を減らし、身体活動を行うことは健康によい。

6

身体活動を増やし、座位行動を減らすことにより、妊娠中および産後の女性、慢性疾患のある人や障害のある人を含むすべての人が健康効果を得られる。

身体活動による主な健康効果(WHO身体活動・座位行動ガイドラインより抜粋)

成人(18~64歳)及び高齢者(65歳以上)

・総死亡率や循環器疾患による死亡率の低下

・高血圧や部位別のがん(膀胱がん、乳がん、結腸がん等)

・2型糖尿病の予防

・メンタルヘルス(不安やうつ症状の軽減)

・認知的健康

・睡眠の向上

・肥満の改善

高齢者のみ

・転倒や転倒に関連した傷害の予防

・骨の健康機能的能力の低下の予防

妊娠中および産後の女性

・子癇前症、妊娠高血圧症、妊娠糖尿病、過剰な妊娠中の体重増加、分娩合併症、産後うつ、新生児合併症のリスクの減少

※妊娠中・産後の身体活動による出生体重への悪影響や死産のリスクの増加はない。

慢性疾患を有する成人および高齢者(18歳以上)

・がんサバイバー:総死亡率、がん特異的死亡率、がんの再発あるいは二次発がんのリスクの低下

・高血圧:心血管系疾患による死亡率の低下、疾病の進行、身体機能、健康

関連の生活の質の向上

・2型糖尿病:心血管系疾患および疾病の進行による死亡率の低下

・HIV感染:体力と精神的健康の向上(不安や抑うつの症状の軽減)

※病気の進行や体組成に悪影響を及ぼさない

障がいのある成人(18歳以上)

障がいのない成人に対する健康結果の多くは、障がいのある成人にも関係している

その他の効果として

・多発性硬化症患者:身体機能の改善、健康に関連した生活の質における身体的・精神的・社会的領域の改善

・脊髄損傷者:歩行機能、筋力、上肢機能の向上、健康関連の生活の質の向上

・認知機能に障がいがある疾病や障がいをもつ者:身体機能および認知機能の改善(=パーキンソン病、脳卒中の既往者)、認知機能の改善、生活の質の改善(=統合失調症の成人)、身体機能の改善(=知的障がいのある成人)、生活の質の改善(=うつ病の成人)

現時点では、どの程度座っていると健康に良くないかといったような具体的な数字は明らかになっていません。しかし、より活動的になる事で疾病の予防や悪化を防ぎ、寿命が短くなる事を回避できる可能性があります。「こんな事で。。病気の予防になるのか。。」と思われるかもしれませんが、「ちょっとした身体活動にも意味がある」のです。

※参考:厚生労働省HP、公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康作り 6月号」

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