職場としての熱中症対策は行われていますか?屋内の作業所や倉庫などでも熱中症のリスクはあります。新型コロナウイルス感染症の予防との両立も求められます。人との距離を取りにくい屋内での作業や休憩時など、マスクの着用その他の感染防止策を講ずべき場面を特定して徹底しましょう。以下のチェックリストで自主点検しましょう。
①WBGT値(暑さ指数)を活用していますか?
□WBGT値は、現場ごとに異なります。輻射熱も考慮した黒球付きのWBGT測定器でWBGT値を実測しましょう。
□作業強度により、物差しとなるWBGT基準値を正しく選定して評価します。実測値がWBGT基準値を超えるときは、熱を遮る遮へい物、簡易な屋根、通風・冷房の設備の設置や連続作業時間の短縮、作業場所の変更が必要です。
□WBGT基準値を大幅に超える作業場所でやむを得ず作業を行わせる場合は、単独作業を控え、休憩時間を長めに設定しましょう。
②休憩場所は整備していますか?
□冷房を備えた休憩場所・日陰などの涼しい休憩場所を設けましょう。屋内や車内の休憩場所については、換気に気をつけるとともに、休憩スペースを広げたり休憩時間をずらすなど、人と人との距離を保ちましょう。共有設備は定期的に消毒するなど清潔に。
□氷、冷たいおしぼり、水風呂、シャワーなどの身体を適度に冷やすことのできる物品や設備を設けましょう。感染拡大防止のため、手指の消毒設備も設けましょう。
□飲料水などを備え付け、水分や塩分の補給を、定期的に行いましょう。飲食前には手洗いを徹底し、飲み口の共有を避けましょう。
□建設現場で休憩場所を共有する場合、借用ルールを定めて関係労働者に伝えるなど、利用環境を整えましょう。
③のどの渇きを感じなくても、労働者に水分・塩分を摂取させていますか?
□作業強度に応じて、定期的にスポーツドリンクや経口補水液などを摂らせましょう。身体が欲するのどの渇きは、加齢や病気、身体の塩分不足のほか、マスクで口が覆われることにより、感じにくくなることがあります。
□トイレに行きにくいことを理由として労働者が水分の摂取を控えることがないよう、労働者がトイレに行きやすい職場環境を作りましょう。
④熱中症の高リスク者を把握・確認していますか?
□高温多湿の環境に慣れていない者(新規入職、4日以上の休み明けなど)を作業開始前に確認し、7日以上かけて高温多湿の環境での作業時間を次第に長くするなどの配慮を行いましょう。
□糖尿病、高血圧症、心疾患などをもっている者を把握し、熱中症予防の観点での医師の意見に基づく就業上の措置を徹底しましょう。
□作業開始前に睡眠不足や二日酔いなどを含む体調不良の者を確認し、作業内容や作業時間に配慮しましょう。
□急激な気温の上昇が予想される日には、作業開始前の熱中症の高リスク者の確認を徹底し、作業内容や作業時間にとくに配慮しましょう。
⑤労働者に、透湿性・通気性の良い服装や帽子を、着用させていますか?
□熱を吸収する服装、保熱しやすい服装は避け、透湿性・通気性のよい衣服を着用させましょう。
□石綿除去等作業や放射性粉じん取扱いにおける保護衣など、衣類によっては、表2(※)に照らして熱中症リスクを検討しましょう。必要に応じて、WBGT値を補正し、より涼しい環境で作業を。(※以下リンク先より参照)
□マスクについては、WBGT値の衣服補正(※表2)の対象とはなっていませんが、負荷の大きい作業などで息苦しいときは、こまめの休憩と十分な水分補給をしましょう。防じんマスクなど作業に必要なマスクは、しっかり着用を。(※以下リンク先より参照)
□作業中も、労働者の顔や状態から、心拍や体温その他体調の異常がないかよく確認を。マスクや溶接面などで顔が隠れると、熱中症の初期症状を見逃すことがあります。
⑥熱中症を予防するための労働衛生教育を行っていますか?
□熱中症の予防には、熱中症に対する正しい知識が不可欠です。高温多湿下での作業では、知識をもつ衛生管理者や熱中症予防管理者教育を受けた管理者の下での作業を。
□労働者にも、体調の異常を正しく認識できるよう、雇入れ時や新規入場時に表4による教育をしましょう。(※以下リンク先より参照)
⑦熱中症の発症に備えて、緊急連絡網の作成などを行っていますか?
□緊急時のため、熱中症に対応可能な近隣の病院、診療所の情報を含む緊急連絡網や救急措置の手順を作成し、関係者に周知しましょう。
□熱中症は、症状が急激に悪化することが多くあります。安静中も一人にしないとともに、医療機関の混雑などで救急隊の到着が遅れることも想定し、早めの通報を。
※参考HP:厚生労働省
事業者の皆様へ 職場の熱中症予防は万全ですか?
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000633854.pdf