緊急性がある頭痛と緊急性のない頭痛を判断する事はとても大切な事です。頭痛は誰にでも起こりえる症状です。実際に頭痛の症状が出た時に慌てずに対処できるようにしましょう。
頭痛とは
頭痛とは頭部の一部あるいは全体の痛みの総称で、後頭部と首(後頸部)の境界、眼の奥の痛みも頭痛として扱うとされています。さらに、熱や腹痛と同様に症状の名称となりますが、慢性的に頭痛発作を繰り返す場合には病名として扱い「頭痛症」となります。
頭痛の分類
頭痛は主に一次性頭痛と二次性頭痛に分かれています。一次性頭痛とは他に病気が隠れているわけではなく、慢性的に頭痛を繰り返すために、慢性頭痛とも言われており、これは頭痛自体が病気であり、片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛などがあります。二次性頭痛はくも膜下出血や高血圧、脳腫瘍、髄膜炎など,脳あるいは身体的原因のある頭痛を指します。
頭痛が起こったら
まずは、緊急性ががないかどうかを判断します。
❍緊急性のある頭痛
急におこった頭痛で、これまでに経験がないひどい頭痛や突発して短時間でピークに達するような頭痛、熱がある、手足や顔面の麻痺やしびれを伴うような場合には至急病院を受診して正確な診断を受けてください。必要に応じては救急車を呼ぶことも必要になってきます。
❍緊急性のない頭痛
以前から同じような頭痛を繰り返している場合は一次性頭痛で、生命の危険はないことが多く、主要なものとしては、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛が代表的です。慢性頭痛の中には難治性のものもあります。必ずしもすべての頭痛に対して完全に痛みを取れるような治療法があるわけではありません。慢性頭痛の中でも、時間の経過とともに症状の悪化が見られるような場合には脳腫瘍や硬膜外血種などの可能性もあり、注意が必要です。
片頭痛
片頭痛は前兆があるかないかによって2つに大別されます。
前兆のある片頭痛・・・完全可逆性の視覚、感覚症状、言語失語霜害などがあげられ、具体的にはキラキラした点や光が見えたり、視覚消失などがあげられます。前兆の持続時間は5分~1時間以内と個人差も大きいです。
前兆のない片頭痛・・・前兆がなく、突然出現する頭痛の事です。中には、漠然とした予感や体調の変化で気づく人もいます。
片頭痛の主な症状
一般的に片側がズキズキとする片側性と拍動性がある頭痛で,寝込みたいくらいの中等度〜重度の強さがあります。日常的な動作により頭痛が増悪することが特徴的であり、随伴症状として悪心や光過敏・音過敏を伴います。そのために、生活支障度が強く、日常生活に影響を与える可能性が高い頭痛です。
片頭痛の誘発因子
ストレスや疲れ、天候の変化、アルコールなど様々なものがあります。また、片頭痛は何度も痛みを繰り返す事で、神経が痛みを覚え、常に痛み刺激を出しやすい状態になってしまいます。片頭痛をもつ人の各個人によって誘発因子が異なるので、まずは、自身の頭痛の誘発因子を把握して、それらの可能性を除去する事も大切です。
緊張性頭痛
緊張性頭痛はその発症頻度によって細かな分類に分かれています。症状も片頭痛とは対照的になっています。緊張型頭痛は片頭痛に比べて生活への支障が少ないとされていますが,慢性的な緊張型頭痛の場合は生活の質を大きく低下させる恐れがあります。
緊張性頭痛の原因と治療
身体的要因・・・悪い姿勢や筋肉の緊張、血液循環の悪化など
精神的要因・・・悩みや不安、ストレスを抱えることで自律神経がうまく働かなくなる
急性期治療では、筋弛緩作用をあわせもつ、抗不安薬や抗うつ薬が有効です。
頭痛とこころの病気
片頭痛や緊張性頭痛はストレスやうつ病とも関係が深いといわれています。最近では、うつ病や不安障害との関係が深いセロトニンという神経伝達物質が、片頭痛にも関係していることがわかっています。逆に、頭痛への悩みが日常生活、社会生活を阻害し、抑うつ状態になることもあります。また、人は精神的に不安になると、痛みに対して過敏になったり、頭部の筋肉が過度に緊張するので、ますます頭痛がひどく感じられるということもあります。
頭痛と上手に付き合う
❍日常生活や社会生活に支障が出るような頭痛とは、うまく付き合っていいく事も大切です。そこで、頭痛の起こった日時、痛みの種類、持続時間、随伴症状、、その時にしていたことや食べたもの、生活支障度などの細かい情報を頭痛ダイアリーとして書き留めましょう。それによって、自分がいつどんな時にどんな間隔で頭痛に悩まされているのかを客観的にみることができます。また、病院を受診した際医師へも頭痛の情報をしっかりと伝える事ができます。
❍自己判断ではなく、正しい診断を受け、適切な治療を受けるために、一度専門の医療機関を受診するようにしましょう。愛知県では、愛知いたみ診療ネットワークという事業を推進しており、慢性疼痛で苦しむ人の診療をご覧の病院で実施しています。
頭痛をおもちの方で一度も病院を受診された事がない人は、一度痛みセンターを受診してみるのもようかもしれません。さらに、受診する時は頭痛ダイアリーをもって行きましょう。