感染症

更新日:7月30日

感染症とは

ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入して増殖し、発熱や下痢、咳などの身体症状が出ることをいいます。感染症は大まかに2種類に分けられ、人から人へうつる伝染性感染症と、マラリアや破傷風のように人を介さず、動物や昆虫、あるいは傷口を介して感染する非伝染性感染症があります。

職場での感染症対策の目的

職場での感染症対策の目的は、従業員が職場の中で感染症にかからないようにし、さらに、アウトブレイクを防ぐことで多数の罹患者によって企業の生産能力を下げないようにするためです。主に職場で問題になるのは、下記の4つの感染症についてです。

季節的感染症

季節によって流行する感染症。季節性インフルエンザや冬季に流行するノロウイルスなどの感染性胃腸炎のこと。

慢性的感染症

季節を問わず年中罹患する可能性のあるもので、結核や肝炎など。

海外赴任者による感染症

赴任先で流行している感染症に罹患すること。滞在先や滞在期間によってその感染症の種類は様々。赴任先の飲食物の経口摂取による下痢症やA型肝炎の罹患もその1例。

外国人労働者による感染症

出身国で流行している感染症の保菌者となっている人が知らず知らずのうちに感染を広げてしまうこと。しかし、現在では2019年4月の改正入管難民法にて来日する外国人労働者に向けて結核の検査を義務付ける、在留資格の申請時に母国での血液検査やレントゲン撮影の実施を含めた健診結果などの提出を義務付けるなどの水際対策を実施。

感染症の3要素

以下の1つでも断ち切ることができれば感染症を予防できる可能性が高くなるのです。

感染源

病原体を保有し他の個体へ感染させる事が可能なもので、ここでは主にヒト、動物、その排泄物を指します。

職場での対策

多くの人が集まる会議の中止や、体調不良の人を別室に隔離するなど、感染した人に接触するという可能性を減らすことで感染の拡大を防ぐようにしましょう。また、不顕性感染と言って、実際に感染しても症状が現れないことがあります。このような人が保菌者(キャリアー)です。不顕性感染では感染したこと自体に気が付いていないため、菌をばら撒く感染源になることがあります。また、その人の抵抗力が低下したときに発症する潜伏感染は、日和見感染の原因のひとつになっています。

感染経路

感染した人や動物、それらの排泄物などのような感染源から、病原体が人に移行し感染するまでの道すじが感染経路です。職場で問題となる主な感染経路には、次のようなものがあります。

接触感染

職場内で最も重要で、頻度の高い感染経路です。細めな手洗いがなされていないことによって感染が拡大します。飛沫感染は感染源である人が、せきやくしゃみ、会話などをすることによって、飛沫が生じます。飛沫は空気中に浮遊し続けることはなく、約1m以内の範囲で飛散し、床に落下します。

空気感染

微生物を含む飛沫の水分が蒸発して、5μm以下のウイルスなどが小粒子として長時間空気中に浮遊する場合に、空気感染が起こります。結核、麻疹(はしか)、水痘(水ぼうそう)などがあてはまります。

その他に、物質媒介型感染(医療器具などを通した感染)、昆虫媒介感染(蚊、ハエなどの害虫が伝搬する事によって起こる感染)などがあります。職場では適切な感染経路の遮断によって、感染拡大を防ぐようにしましょう。

感染のしやすさ

感染のしやすさとは、簡単に言えば人間の持つ抵抗力の事です。睡眠不足やストレスによって抵抗力が低下している人や重篤な持病を持っていたり、高齢者や乳幼児は抵抗力が弱いため感染しやすいと言えます。

職場の感染対策

①従業員の方への健康教育

予防接種の必要性や、手洗いうがいの励行、咳エチケットなどの簡単な感染予防方法の周知、感染症にかからない抵抗力をつけるための睡眠やストレス対策などの正しい知識の普及や周知徹底です。

②感染しない体をつくるための健康管理

各個人の健康状況の把握と、勤務体制や内容の見直しも大切です。

③職場の環境

十分な換気や温度湿度管理、必要な洗剤や消毒薬の補充や備蓄、保安対策、感染者が見つかった場合の体制整備が必要となってきます。

場所別感染症対策

①ドアノブ、スイッチ、受話器、インターホン

これらにおいては特に来客者などを含めて多くの人の手が触れることになります。業務中にスイッチや来訪者がいるたびに手洗いをするわけにもいかないので、その周囲にアルコールの手指消毒を置いておくなどの工夫をしましょう。

②トイレ

トイレの清掃は必ず1日に1回は実施することとし、使用者が直接手で触れるところと、排せつ物が流れる便器内は必ず分けて清掃します。原則として、清潔場所から不潔場所の順におこないます。また、手洗いの方法などをトイレの鏡の前にはり、周知することも大切です。

③会議室や休憩室などの人が多く集まる場所

多くの人が集まる場所では、自然と感染症に罹患するリスクも高くなります。咳やくしゃみが出る人には必ずマスクを着用してもらう事、使用後のマスクやティッシュはふたつきのごみ箱を使用したりして、他の人が触れないようにしたりするなどの工夫も大切です。

職場でのアウトブレイクを防ぐには

感染症罹患による企業での就業制限は、感染症の病原体を保有している人が就業を通じて当該感染症を他社に蔓延させるのを防ぐ為であり、感染症の病原体を保有しなくなるまでの期間が就業制限の期間となりえます。

労働安全衛生規則では、感染症に罹患した者は事業者が就業を禁止しなければならない、とされていますが、具体的なものは提示されていません。

職場内での感染を防ぐためには「学校保健安全法」をひとつの基準として対応するのも1つですが、全く同じにする必要はありません。

職場(の事情に合わせたところ)の就業規則の方が優先します。一方、就業規則に取り決めがない場合は、嘱託医や受診した医師の指示のもとに、職場の管理者が独自に判断することになります。

感染症のアウトブレイクによる企業の生産性を下げないためにも、感染予防を徹底して行っていきましょう。

※参考資料:国立感染症研究所HP、東京都病院薬剤師会、東京都福祉保健局HP、厚生労働省HP

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