top of page

定期健康診断について

健康診断とは

事業者は労働安全衛生法第66条に基づき、従業員に対して医師による健康診断を実施しなければならない。また、従業員は事業者が行う健康診断を受けなければならない、としています。

主に、雇入時健診や定期健康診断、特定業務従事者の健康診断などの一般健康診断と、有害な業務に常時従事する従業員等に対して行われる特別な健康診断として、特殊健康診断やじん肺健診などがあります。

なお、VDT作業、騒音作業、重量物取扱い業務、身体に著しい振動を与える業務等の特定の業務については、それぞれ特定の項目について、健康診断を実施するよう指針・通達等が発出されています。

健康診断の目的

一般的な健康障害と業務に従事する事によって生じる健康障害をそれぞれ早期に発見し対処するために健康診断を実施します。

健康診断の結果により、必要であれば業務上における就業措置を行います。さらに、健康診断の結果をもって各個人への健康教育を実施する事で、各々の健康への意識を高め、健康の保持増進への手助けとします。

定期健康診断の項目

(※ここでは、すべての事業所で実施している定期健康診断について説明します。)

1: 既往歴及び業務歴の調査 2: 自覚症状及び他覚症状の有無の検査 3:身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

4:胸部エックス線検査 及び喀痰検査 5:血圧の測定 6:貧血検査(血色素量及び赤血球数)

7: 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP) 8: 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド) 9: 血糖検査 10 :尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査) 11: 心電図検査

※なお、定期健康診断について、それぞれの基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略することができる項目もあります。

 「医師が必要でないと認める」とは、自覚症状及び他覚症状、既往歴等を勘案し、医師が総合的に判断することをいいます。

 よって、省略基準については年齢等により機械的に決定されるものではないことには注意が必要です。

定期健康診断の各項目の捉え方

❍問診/既往歴/自覚症状の確認:受診者の表情や顔色、話し方などから、数値では現れないものを直接読み取る

❍身長/体重/腹囲:メタボリックシンドロームの判別や、予備軍の発見につなげる

❍視力:緑内障・白内障・糖尿病性網膜症の兆候をみつける、VDT作業などによる急激な視力低下を発見する

❍聴力:主に騒音性難聴や加齢性難聴の兆候をみつける

❍胸部X線/喀痰検査:肺や気管などの呼吸器疾患、心疾患の異常をみつける、縦隔や横隔膜周辺の異常発見にも役立つ

❍血圧:心臓のポンプの働きが直結している高血圧をみつける、脳血管疾患や心疾患、糖尿病への影響も大きいので注意が必要

❍血液一般/貧血:貧血の有無やその種類、性質を調べる、再生不良性貧血や悪性貧血などとの鑑別

❍肝機能検査:脂肪肝、ウィルス性肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変などの兆候をみつける、肝機能異常では重症化するまで自覚症状が       乏しいので注意が必要

❍血中脂質検査:動脈硬化の原因である高脂血症をみつける

        動脈硬化は心・脳血管疾患、糖尿病のリスクを確実に高めるので注意が必要

❍血糖検査:糖尿病予備軍の人を見つけ、糖尿病になるのを防ぐ、過去数カ月の血糖の変化を予測する

❍尿検査:糖尿病や糖尿病性腎症の兆候、腎炎や慢性腎症の発見に役立つ、腎機能の変化には内臓の疾患や機能低下などの影響が顕著     に表われる、多くは自覚症状に乏しく普段の診察では発見されにくいので注意が必要

❍心電図検査:虚血性心疾患、不整脈などの心臓の動きの異常をみつける、健診時に異常がなくても、動悸や息切れなど日常生活の中で       症状があれば受診が必要である

健康診断実施後について

事業者は、「健康診断の結果に基づき、健康診断の項目に異常の所見のある労働者について、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師(歯科医師による健康診断については歯科医師)の意見を聞かなければならない」、「健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければならない」とされています。

各種健康診断の結果は必ず従業員本人へ通知されますので、必ず結果を確認し、必要に応じて医師や保健師による保健指導を受けましょう。その結果、作業の転換や労働時間の短縮など業務上の制限がかかる場合もあります。

健康診断の結果異常がみられなかった方も、年1回、自身の体に向き合う機会を大切にしましょう。

※参考:厚生労働省HP、日本人間ドック学会HP

bottom of page